SAP Fioriとは!? 機能の特徴やメリット・デメリットを徹底解説!

SAP S/4HANAで提供される機能として、SAP Fioriがあります。
SAP Fioriは、新たなユーザーインターフェース(UI)が生む、優れたユーザーエクスペリエンス(UX)を備えた設計システムです。
本記事では、SAP Fioriの特徴やメリットなどについて解説します。

目次

SAP Fioriとは

SAP Fioriとは、SAP S/4HANAのアプリケーションを作成できる設計システムです。
SAP Fioriが登場する前にメインインターフェイスとして使われていたSAP GUIは、豊富な機能を利用できる一方で、情報量が多く使いづらいという特徴がありました。

ビジネスの環境やワークスタイルが変化する昨今、モバイル環境も含めたアプリケーション開発のニーズが高まっています。SAP Fioriは、デスクトップ以外にもモバイル環境からも利用できるアプリケーション開発を可能にします。

SAP Fioriの特徴

SAP Fioriは、シンプルでエレガントなUIから、花の意味を持つFiori(フィオーリ)と名付けられました。
SAP Fioriでは画面デザインが刷新され、機能中心のデザインからユーザー中心へシフトされました。

①単一のコードであらゆる画面サイズに対応

SAP Fioriは、単一コードを使ったレスポンシブデザインが採用されています。
レスポンシブデザインとは、PCやタブレット、スマートフォンなど異なる画面サイズのデバイスに自動で画面が最適化される技術です。

また、それぞれのデザインはモバイル環境での利用を考慮し、指先での操作がしやすいように工夫されており、画面開発の生産性に寄与しています。
さらに、Google ChromeやFireFoxなど、Webブラウザを跨いだ動作が可能な点もSAP Fioriの優れているポイントです。

②画面とバックエンドサーバーの分離

SAP Fioriは、バックエンドサーバー側で使われるプログラムと、画面で使われるプログラムが分かれているという特徴があります。
SAP ERPのバックエンドサーバー側では、ABAPを使ってプログラミングされており、画面側ではオープンなWeb技術を採用しています。
画面とバックエンドサーバーが分離されているため、ABAPが使えない人でも、画面の開発や変更が可能です。

分離された画面とバックエンドサーバーの通信は、オープン技術のODataを利用しています。
SAP ERPの通信プロトコルRFCは、SAP Gatewayを使ってODataに変換されています。
また、SAP HANAにおいてはXS Engineを使って、ODataを生成しています。
この2つのモジュールのおかげで、バックエンドの仕組みを意識することなく画面が開発できます。

③HTML5・JavaScript・CSSを利用できる開発環境

SAP Fioriの画面は、オープン系言語であるHTML5・JavaScript・CSSを利用しています。
SAPは、500を超えるSAP Fioriの画面を提供していますが、自身でパーソナライズが可能です。
オープン系言語を利用することで、多くの技術者が画面開発が可能になります。

④開発効率を高める豊富なツール

SAP Fioriでは、スムーズな画面の開発と拡張ができるよう、ツールを提供しています。
開発ライブラリにSAP UI5が提供されており、SAP Fioriのデザインガイドラインに沿ってアプリケーションを開発することができます。
SAP UI5を使ったSAP Fioriアプリケーションの開発環境には、SAP WebIDEが提供されています。
SAP WebIDEは従来のEclipseに比べて、開発効率を最大化する豊富な機能が用意されています。

SAP Fioriの4種類のアプリケーション

SAP Fioriの機能は、大きく分けて4つあり、概略は以下の通りです。

  • Transactional Apps
    受発注書類などの伝票を登録・更新・参照したり、休暇申請や出張申請などを承認したりするアプリケーションです。
    ユーザーはPCだけでなくモバイルデバイスからも、簡単なSAPトランザクションの実行が可能です。
  • Fact Sheets
    伝票情報・マスタ情報などを、検索・閲覧するアプリケーションのことです。
    地理マップの統合オプションや、トランザクションアプリに移動しSAPトランザクションを実行することも可能です。
  • Analytical Apps
    グラフィカルな分析を行うためのアプリケーションです。
    Smart Businessと仮想データモデルの2つのタイプがあります。
  • Smart Business
    KPIを分析・評価するためのアプリケーションです。
    KPIを監視し、リアルタイムで市場の状況に応じて変更を加えることができます。

SAP Fioriの使用例

SAP Fioriの強みは、データの可視化です。
ここではSAP Fioriの具体的な使用例を紹介します。

使用例として、受注フルフィルメントアプリでは、データの可視化によって業務品質の向上を行っています。
処理が止まっている受注や、出荷・請求のスケジュールが遅れているといった問題を視覚的に把握することが可能です。
また、問題点の把握から原因を特定し確認、対処するまでのアクションを一連の流れで行えるようになり、問題を早期発見し早期に対処ができます。

さらに、SAP S/4HANAの高速化されたデータベースであれば、SAP FioriでパーソナライズされたLaunchpadで、経営状況をリアルタイムでモニタリングできます。

SAP Fioriのメリット

SAP Fioriが持つ特徴は前述の通りです。
ここでは、SAP Fioriが持つ特徴を活かすことで得られるメリットについて解説していきます。

①カバーできる業務の範囲が広い

SAP Fioriは、営業管理・在庫管理・人事労務管理・生産管理などに幅広く対応しており、それらをひとつの基幹システムにまとめることができます。
また、それらのデータ更新がリアルタイムで行えることで、広範囲のデータを分析することができるようになるため、会社全体の経営判断を行いやすくなるというメリットがあります。

②業務に合わせてカスタマイズできる

SAP Fioriには、カスタマイズ機能が搭載されています。
このカスタマイズ機能を利用することで、あらゆる業種・業務に合わせた最適なシステムを構築することができます。
販売方法や流通方法、業務の体系やシステムが異なるさまざまな企業のニーズに合わせ、それぞれの事業にパーソナライズすることが可能です。
企業独自の業務ルールや業務形態を変更することなく、システム側が企業のルールに合わせることができます。

③シンプルで使いやすいUI

従来のSAP ERPで提供されていたSAP GUIは、すべての情報を1つの場所で管理するために、狭い画面にボタンとタブがたくさん配置されており、使いづらいという意見がありました。
しかし、SAP Fioriでは、ユーザー中心の目線で設計されており、非常に使いやすいUIを実現しています。
デザインを刷新したことで、使用者はもちろん、開発者にとっても扱いやすいものとなっており、作業コストの削減に貢献します。

SAP Fioriのデメリット

優れたインターフェースであるSAP Fioriですが、メリットばかりではありません。
SAP Fioriを導入する際のデメリットについて解説します。

①慣れるまで時間がかかる

SAP Fioriは初心者向けの資料が少ないため、実際のSAPシステムを使ってみないと、使用イメージが掴みにくいことから扱いにくさを感じることもあるでしょう。
これは基幹システム全般にいえることでもありますが、スムーズに扱えるようになるには多少の時間がかかることは想定した方がいいでしょう。
しかし、過去にSAPシステムを利用していたのであれば、SAP Fioriではよりシンプルな構成に設計されているため、システムに慣れるのは早いかもしれません。

②使える人材が少ない

SAPは世界中で利用されているシステムであり、日本でも注目されています。
しかし、手軽に導入できるシステムではないこともあり、開発者が少ないというのが現状です。
SAPシステムは独学で学ぶのはハードルが高く、難しいといった背景があり、開発者となる人材の確保が難しくなっています。
人材確保や外注に費用がかかることは、デメリットといえるでしょう。

SAP fiori導入はグランパスコンサルティングにご相談ください

SAP Fioriのような優れたシステムも、導入するだけでは十分なメリットが得られません。
SAP Fioriの真価を発揮するためには、そのまま利用するよりも自社の業務に合わせた機能開発が重要です。

グランパスコンサルティングでは、基幹システムから周辺システムまで含めたコンサルティングサービスをご提供します。
また、導入後の企業様のシステムベンダーを対象とした教育サービスもご提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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