SAP Basisのおすすめ学習方法・書籍を解説
SAP Basisは、SAPのことに加え、ミドルウェア・インフラの知識・スキルも必要とされるポジションです。
そのため、スキルアップをするために、何から手を付けてよいのか分からないものです。
本記事では、SAP Basisとして個人でスキルアップするためのおすすめの学習方法や書籍について解説します。
これからSAP Basisの知識・スキルをつけたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
SAP Basisの独学は難易度が高い
SAP Basisを独学でスキル習得しようとすると、難易度が非常に高いです。
理由は以下の3つです。
1.スキルの習得は、業務もしくはSAP社提供のトレーニングのみでしか行えない
2.SAP Basis関連の書籍は英語版のみしか出版されていない
3.習得すべきスキルセットが幅広い
【スキルの習得は、業務もしくはSAP社提供のトレーニングのみでしか行えない】
スキル習得には、SAP Basis経験者に疑問点をすぐに聞ける環境にあることが一番です。
方法は自社・プロジェクトのSAP Basis経験者に業務内で聞く、もしくはSAP社提供のトレーニングを受講するの2択です。
熟練のSAP Basis経験者が周りにいれば良いですが、SAP Basis熟練者は数が少なく、なかなか疑問点をすぐに聞ける環境にいる人も少ないでしょう。
そこでおすすめなのが、SAP社提供のトレーニングを受講することです。
SAP社提供のトレーニングは2種類ありますので、詳細はこの後、ご説明します。
【SAP Basis関連の書籍は英語版のみしか出版されていない】
SAP Basisは、ミドルウェア・インフラの領域を担当します。
ミドルウェア・インフラは、システムのバージョンや新技術の登場によって、技術内容が目まぐるしく変わっていきます。
そのため、日本語翻訳されるまでに至らず、英語版の書籍しかありません。
書籍の内容も多く、英語であるため、英語が苦手な人にとっては特に取っつきにくい印象を受けます。
最近では海外ロールアウト案件も増えてきており、海外プロジェクトでのSAP Basisのニーズも高まっています。
英語を習得しておくことで、SAP Basisとして活躍の場も広がるため、英語の書籍にチャレンジするのも一つの手です。
【習得すべきスキルセットが幅広い】
SAP Basisは、SAPのことのみならず、DB・OS・ネットワーク・ストレージ・セキュリティなど、ITシステムのミドルウェア・インフラのことを全般的に知っておく必要があります。
SAPは基幹システムであり、SAP導入プロジェクトでは、周辺システムを含めた全体設計をしていく必要があるため、このような幅広いスキルが必要とされています。
SAP Basisに必要なスキルセットは、こちらの記事で解説していますので、読んでみてください。
SAP Basisのおすすめ学習方法
SAP Basisのおすすめの学習方法は、以下の3つです。
学習方法 | 個人/対人 | 費用 | スキル習得効率 |
---|---|---|---|
SAP公式トレーニング | 対人 | 100万円以上 | 高 |
SAP Learning Hub | 個人 | 2,621円~28,702円/月(購入プランにより異なる) | 中 |
書籍 | 個人 | 2,000円~10,000円程度 | 低 |
上から順に費用はかかりますが、スキル習得効率が高く、短期間でスキル習得ができます。
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
SAP公式トレーニングを活用した学習
SAP社が提供するオンサイトのトレーニングサービスを、「SAPアカデミー」と呼びます。
SAPアカデミーでは、SAPのプロが講師として、実機や教材を使って目の前で教えてくれるため、知識の定着も早いですし、疑問点があればすぐに講師に質問することができます。
日本では、東京の品川でトレーニングを受講することができます。
トレーニングは定期的に開催されているため、ホームページで受講したいトレーニングのスケジュールを確認しましょう。
また、SAPアカデミーは1コース数十万円という価格帯で、SAP Basis関連のすべてのコースを受講するとなると、約1ヶ月近い時間と100万円以上の費用がかかります。
自費で参加することは難しいため、会社に費用を負担してもらうことを検討しましょう。
費用はかかりますが、その分、講師に対面で教えてもらうことができ、一番スキル習得効率が高い学習方法です。
SAP Learning Hubを活用した学習
SAP Learning Hubは、SAP社が提供しているオンライン学習サービスです。
動画でSAPシステムの画面や説明資料を見ながら、学習を進められます。
さまざまなSAPシステム・モジュールの教材が揃っているため、体系立てて学習することができます。
SAP Learning Hubには、3つのプランがあります。
プラン | 説明 | 費用 |
---|---|---|
Business Edition | SAPナレッジの概要を学習 | 2,621円/月 |
Solution Edition | SAPソリューションの8つの領域をそれぞれ学習 | 15,599円/月(1領域につき) |
Professional Edition | SAP製品全体かつSAPコンサルタント向けの学習 | 28,702円/月 |
SAP Basisの学習をする場合は「Professional Edition」を選定すべきです。
概要レベルだけでも学習したい場合は「Business Edition」でも入門としては十分です。
14日間の無料体験版もあるため、まずは実際に体験版を受講して購入を検討しましょう。
書籍を活用した学習
SAP公式書籍は、SAPの機能について体系立てて書かれているため、非常におすすめです。
ですが、SAP公式書籍は、英語版しか出版されておらず、英語が苦手な人にとっては学習が難しいかと思います。
最近では海外ロールアウト案件が多くなってきているため、英語で学ぶことは、実際のプロジェクトにも活きてきます。
また、書籍による学習は、実際のSAPシステムの画面を見ながらの学習ではないため、システムのイメージがつきづらく、初心者にとっては、スキルの習得がしづらい学習方法です。
SAP Basis初級者の方は、まずはSAP公式トレーニング、もしくはSAP Learning HubでSAP Basisのことを知った上で、書籍で勉強するとスキルの定着がしやすいです。
では、実際にどのような書籍で学習するべきか、次の章で詳しくご説明します。
SAP Basisのおすすめ書籍
この章では、SAP公式書籍の中でも、特にSAP Basisとして読むべき本を1冊、SAP Basisとして知識・スキルをつけるために読んでおくと良い本を2冊ご紹介します。
SAP NetWeaver AS ABAP – System Administration
SAP公式書籍の中で、特にSAP Basisが読むべき本は「SAP NetWeaver AS ABAP —System Administration」です。
SAP NetWeaver AS(Application Server) ABAPとは、SAPの主力製品であるSAP ERPの土台となるミドルウェアのことで、SAP Basisを始める方は、まずNetWeaver AS ABAPから勉強をします。
この本には、SAP NetWeaver AS ABAPの概念・システムアーキテクチャ・管理ツールなどの説明が載っており、SAP BasisとしてSAPを管理する上で必要なノウハウが体系立てて書かれています。
具体的には、
- SAP NetWeaver AS ABAPのシステムアーキテクチャ
- 処理方法(ダイアログ・バックグラウンド)
- システムランドスケープ
- クライアント管理
- ユーザ・権限管理
- ソフトウェアバージョン管理
- システム監視
といった内容が載っています。
最初からすべてを読むと大変であるため、気になるトピックだけピックアップして読むことをおすすめします。
図解入門 よくわかる最新SAPの導入と運用
続いて、一般の書籍からSAP Basisに役立つ書籍をご紹介します。
「図解入門 よくわかる最新SAPの導入と運用」は、下記の内容を初心者向けに概要レベルで書かれています。
- SAP ERPとは何か
- SAPのモジュール
- SAP導入・運用プロジェクトについて
SAP Basisとして、ミドルウェア・インフラのことのみならず、SAPがどのような業務で使われるのか、どのようにプロジェクトが進んでいくのかを把握しておくと、アプリケーションメンバーやユーザとのコミュニケーションがスムーズになり、仕事が進めやすくなります。
SAPのことを概要レベルで初心者向けにやさしく書かれているため、SAP BasisがSAPアプリケーションのこと・業務のことを知るためには最適な書籍です。
ITアーキテクチャのセオリー
SAP Basisは、SAPのことのみならず、ITシステム全般のことを知っておく必要があります。
SAP ERPは基幹システムであるため、SAP導入プロジェクトは周辺システムとの連携を巻き込んだプロジェクトになります。
そのため、周辺システムをどのようにSAPと連携すべきか、大局的に会社システム全体を俯瞰するスキルが問われます。
そこでおすすめな書籍が、「ITアーキテクチャのセオリー」です。
要件定義フェーズでは、SAPを含めた会社システム全体のグランドデザインを設計していく必要があります。
また、今後はクラウド・IoT・AIなどとシステム連携をすることがより求められるため、SAPのことのみならず、ITシステム全般のこともスキル習得していくことをおすすめします。
SAP Basis育成もグランパスコンサルティングがおすすめ
本記事では、以下の3つのSAP Basisの学習方法をご紹介してきました。
学習方法 | 個人/対人 | 費用 | スキル習得効率 |
---|---|---|---|
SAP公式トレーニング | 対人 | 100万円以上 | 高 |
SAP Learning Hub | 個人 | 2,621円~28,702円/月(購入プランにより異なる) | 中 |
書籍 | 個人 | 2,000円~10,000円程度 | 低 |
会社が費用を負担してくれるのか、スキル習得をいつまでにしなければいけないのか、自分に合った学習方法はどれなのか、ということを鑑み、自分自身に合った学習方法を取捨選択する必要があります。
スキルの定着には、教材をベースにしたインプットに加え、実践的なインプットをすることが重要です。
グランパスコンサルティングでは、実践的なインプットができるSAPトレーニングサービスを多数提供しています。
グランパスコンサルティングのSAPトレーニングを受講することで、これまで積み上げた知識・スキルを定着化できます。
SAP Basisとしてさらなるスキルアップを目指す方は、ぜひグランパスコンサルティングのトレーニングを受講ください。